上代文学会

上代文学会の活動について(学会の趣旨、活動の概要、学会の歴史)

上代文学会の趣旨
 上代文学会は、『万葉集』『古事記』『日本書紀』などの、上代日本文学を対象とする研究の発展に寄与することを目的として、1952(昭和27)年5月に創設された公的学会です。
 上代文学会は、現在会員数は約700名で、主に日本国内の、上代日本文学の研究者や、上代日本文学に関心を寄せる人々によって構成されています(なお、上代日本文学の研究を志し、上代文学会の趣旨に賛同される方ならばどなたでも会員になることができます。(入会案内参照)

〔上代文学会の組織と運営〕
役  員若干 学会の運営は、常任理事会(事務局・常任理事・代表理事)の議を経て実行されます。
 なお、当年度の計画は、年度当初の総会に諮り、承認を受けます。
顧  問若干
名代表理事1名
常任理事15名以上
理  事50名以上
会計監査2名
事 務 局代表理事を含む若干名

上代文学会の活動の概要
(1) 例会の開催(7、9、12、1月の第2土曜日)
東京都内の大学で開催し、2名の会員が、それぞれ上代日本文学についての最新の研究成果を発表します(それぞれ発表1時間と、その後に質疑応答)。
(2) 大会の開催(5月下旬)
原則として東京都以外で開催し、各地の上代日本文学研究者が一堂に会します。
第1日(土曜日午後)=公開講演会
第2日(日曜日)=研究発表会
第3日(月曜日)=臨地研究(大会開催地の、『万葉集』『古事記』などにゆかりのある土地を訪ねます。主に大会開催地の研究者がガイドを務めます。)
(3) 秋季大会の開催(10月中旬)
東京都内の大学で開催し、シンポジウムと研究発表会を行います。
第1日(土曜日午後)=シンポジウム
第2日(日曜日午後)=研究発表会
(4) 機関誌『上代文学』の発行年2回、4月と11月に発行しています。4月号では、前年度秋季大会のシンポジムに基づく特集を組み、11月号では、その年度の大会の公開講演会に基づく論文を掲載します。また、どちらの号にも、厳正な審査を経た投稿論文1〜5編を掲載しています。
(5) 万葉旅行の実施(10月上旬)
関東地方の、『万葉集』『古事記』『日本書紀』『風土記』などにゆかりのある土地を、一日散策します。学会役員がガイドを務めます。毎年、多くの会員の参加があります。
(6) 上代文学会賞の贈呈1983(昭和58)年より、上代日本文学研究の新進研究者の、その年の最もすぐれた研究業績に対して、若浜汐子学術基金による上代文学会賞を贈呈しています。翌年の大会で贈呈式が行われます。

〔その他の事業〕
1. 万葉夏季大学の実施(1952(昭和28)年〜1991(平成3)年。現在休止中)
夏3日間にわたる、上代文学会会員による、一般向けの万葉集講座。
2. 上代文学会編「万葉夏季大学」の企画出版(1973(昭和48)年〜1996(平成8)年)
1の万葉夏季大学の、毎年の成果を、論文集として出版。
上代文学会出版物案内参照
3. 学会内の研究会活動(1997(平成9)年に5研究会が発足。現在活動は終了)
(1) 『古事記』を考えるセミナー
(2) 古事記逸文研究会
(3) 《書くことの文学》研究会
(4) 懐風藻研究会
(5) 古代和歌史研究会
4. 「上代文学会研究叢書」の刊行(2001(平成13)年度現在既刊4冊)
3の各研究会の成果を、論文集として出版。

上代文学会の歴史
 上代文学会は、1952(昭和27)年5月、佐佐木信綱、久松潜一、折口信夫、武田祐吉、森本治吉、五味智英、藤森朋夫、竹内金治郎、若浜汐子他の諸氏によって発会しました。『万葉集』を中心とする上代日本文学の研究者、学生、愛好者らが自由に参加して、発会以来、万葉集講演会、万葉夏季大学、万葉旅行、研究発表会を続け、研究討論会や共同研究も行い、研究誌『上代文学』を年2回刊行し、上代日本文学研究、特に万葉集研究の発展に大いに寄与してまいりました。
 2002(平成14)年には、学会創立50周年を迎えました。上代文学会では、これを記念する大会を開催し、また『上代文学』特別号「上代文学会五十年の歩み」を発行します。

上代文学会について(祝辞)
佐佐木信綱
 このたび上代文学会が生まれることになつたのは、わが国の新しい出発にあはせてまことに意義深いことである。ことに自分のやうに多年、日本の歌の伝統につい特に上代の万葉についての研究に心を労することの多かつたものとしては、上代文学に関する研究が、いよいよ盛んにいよいよ広く行はれるやうな組織のできることは喜びに堪へない。
 近来、学問は非常に専門的に分れ、それぞれの分野で深く掘り下げられてゐるが、それらの間で成果を互いに利用し得るやうな体制を作らなければ、大局からみての学問の進歩は期しがたい。この新しい学会は、その大切な任務を果すべきであつて、文学そのものばかりでなく、言語学、考古学、民俗学、社会学、史学、文献学などの専門研究家が相集まつて、ひいては、上代日本史、上代国民史の総合的な開明への母胎ともなるやうなものであつてほしいとおもふ。
 学会の事業としては、講演会、研究発表会、懇話会、講習会のやうな催しも随時行はれるであらうし、また機関誌の発行も計画されてゐると思ふ。紀要の刊行もあつてほしい。それらの機関誌や紀要には、会員の研究発表のみでなく、広く地方の篤学者の労作をも発表したいものである。
 ここに、自分の心づきを二三述べてみよう。それは、たとへば、上代歌謡の集大成、上代語の辞典、上代文学書志の編集、重要な古文献の複製等である。これらはある程度まですでに出来てをるものもあるが、なほ完全なものが出来るやうにと望まれる。また海外に紹介されてゐない文献の外国語訳も出来てほしいとおもふ。その外、海外には、自分の聞きかつ知つてゐるだけでも、少からぬ人々が日本古典の研究を進めてゐるが、それらの人々と互いに連絡することも大切であるとおもふ。これらは、文学研究そのものではないかも知れぬが、文学研究乃至文化史研究のための重要な基礎をなすものであり、かつ、多くの会員の協力によつて期し得られるものであらうとおもふ。
 これらの外に、会員諸君それぞれの発意創案によつて、幾多の計画が提出され、それが、着実に実現してゆくことを自分は心から願ふものであるが、この新しい門出に当つて、自分が最も望むところは、この学会が、公けのものとして、日本の学問の進歩に寄与することをより大ならしめるために、学会自体が融和結合するのはもとより、そのほかに進んで広く学会外に対しても、理解と協力を求めかつ與へる努力を惜しまないやうにしたいことである。
 ここにこの会の発足にあたり、会員諸君の努力を切にこひねがふ次第である。
(『上代文学』創刊号、1952年9月)


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